人口減少が顕著になってきている最近は、生産年齢人口も5年前に7450万人だったのが、今は7000万人を割るまでになっています。
2050年には5000万人になってしまうともいわれているので、減少に歯止めがかかりません。
実はこの生産年齢人口は、1995年には8700万人いました。そこから減り続けているので、現時点でも、30年で20%減っていることになります。
そして、そこから約25年後の2050年が25%以上減ることになります。

(出典)内閣府(2022)「令和4年版高齢社会白書」1
当然、私たちオフィス家具業界の需要も生産年齢人口の減少に伴って減るというのが本来の考え方です。
しかし、どうでしょう。
ここ5年、大手3メーカーの売上高の推移や株価の推移を見ると、人口減少と裏腹な答えが返ってきています。
オカムラ 2021年8月 1692円 2026年8月 2342円前後
コクヨ 2021年8月 1893円 → 2025年に4分割 → 2026年8月 870円前後
イトーキ 2021年8月 350円 2026年8月 2530円前後
イトーキが突出していますが、そのほかの2社も含めて、非常に上がっているのが事実です。
売上推移を見ても、
オカムラ 2025年 3290臆(2021年比 26%増)
コクヨ 2025年 3599臆(2021年比 12%増)
イトーキ 2025年 1537臆(2021年比 33%増)
また、利益はさらに顕著になります。
オカムラ 2025年 241臆(5年前からの増加率 51%増)
コクヨ 2025年 262臆(5年前からの増加率 31%増)
イトーキ 2025年 137臆(5年前からの増加率 439%増)

とはいえ、各社オフィス事業以外も扱いがあるので、一概には言えないのではないかと思い、事業部別の比較からオフィス部分だけを出してみました。
オカムラ オフィス環境 2025年 226臆(営業利益率11.8%) 2021年 100臆(営業利益率 7.7%)
※売上は2025年 1918臆(47%増)
コクヨ ファニチャー 2025年 261臆(営業利益率15.2%) 2021年 177臆(営業利益率 13.0%)
※売上は2025年 1722臆(27%増)
イトーキ ワークプレイス2025年 110臆(営業利益率 9.9%) 2021年 19臆(営業利益率 2.4%)
※売上は2025年 1115臆(38%増)
どこの会社もオフィス事業が利益の80%~90%以上を占め、大きく利益を伸ばしています。
こう考えると、生産年齢人口がこの5年で6%程度減っているのにこれだけ伸びているのはすごいことです。
この要因はひとつふたつではなく様々なものが入り混じっているのは事実ですが、その中の一つの理由として挙がるのがオフィスでの働き方の変革の成果かと思います。
どのメーカーも、今までより生産性、成果の上がるオフィス作っており、その結果が出ているのだと思います。
もちろん、率先して自社オフィスを改善している3社なので、こうやって結果が出ているのは当然なのかもしれません。
考えてみると、5年前はまだまだコロナ禍でしたね。
2020年~2021年は、やたらと「リモート」「リモート」言っていた気がします。
出社率も相当低かったですし、東京を中心にオフィス家具の売上が落ちまくったイメージです。都心部のオフィスビルの空室室も高かったです。
オフィスに出社しても、隣との間にアクリルパーティションを立てたり、様々な工夫をして飛沫防止を行っていました。
2022年~2023年になると、「リモート」と出社のハイブリッドが多くなった気がします。
ABWが定着し、自分の仕事に合わせて業務場所を選択するというが当たり前になってきたのもこの辺りです。
そんな中個室ブースが流行り出したのもこの辺りなのかもしれません。
2024年以降になると、オフィス回帰が叫ばれてきました。
出社を義務付ける企業も増え、そのためのオフィスに価値を持たせて「オフィスの方が仕事が捗る」という意識を高めたのもこの辺りです。また、コミュニケーションを求める声が増え、それにに応える空間設計が主流になってきました。
最近は優秀な人材確保や人材流出を防ぐためにオフィスを整備するということが増えています。
社員のエンゲージメントを上昇させることが離職率の低下、生産性の向上、組織の一体感の醸成ということにつながってくることにつながるため、オフィスへの投資が単なる「コスト」に見られなくなってきており、そこに注目されています。
ここ最近はそういうオフィスを作るために社員の動きをデータ化したり、社員のコンディションを測って、それを用いてオフィス空間を設計し、実際に改善する企業が増え続けています。
こう見てみると、生産年齢人口の減少で危機と思われたオフィス業界ですが、ここ数年の大きな変革で間違いなく需要が増えていることが分かります。
もちろん、オフィスの机・いすの出荷量が増えているわけではありません。(ここ10年横ばいか、少し減り気味です)
しかし、これだけ伸びているということは、それだけ経営者がオフィスにかける費用を「コスト」とみなさずに「オフィス投資」と見始めているからだと思います。
ここ数年のオフィスの変化はまだまだ続くと予想されますが、大手3社を含むオフィス業界が今後どのような手を打って行くのか注目したいと思います。
開周堂では自社でオフィス空間の設計デザインをしております。オフィス改善をご検討の方、どうしたら人材の採用・定着が進むかとお困りの方、一度お声がけください。